図2・2 障害物を避ける図
(C)レーダー空中線を装備するマストのプラットホームはキールライン上にあり、360°にわたって視界を妨げる障害物のないことが望ましい。目視でさえぎられるマストなどがあるとその角度(図2.2のα)がレーダーの映像面上で陰になって抜け落ちるので、(1〜2度であれば感度が下がる程度)、船首方向にこのようなマストなどの障害物があるときは重大である。このときはプラットホームを上に移動し、障害物の頂点を見下ろす角度(図2・2のβ)が空中線垂直ビーム幅の1/2取れれば問題はない(普通βは約10度)。この場合、装備導波管が長くなるのはやむを得ない。また、船によっては積荷状態などでトリムが大きく変わる場合があるので、最も厳しいトリム条件下で前方障害物の検討を行う必要がある。しかし、実際にこの角度を得ようとすると、空中線の高さが異常に高くなり、構造上実現が不可能であったり、例え可能であっても航行する水路の高さ制限で実現不可能な場合が多い。したがって、βの角度を小さくし、例えば5度程度にしている場合もある。このときは比較的近距離の感度が落ち、かつ、偽像も現れるが遠距離の感度はほぼ確保されるので妥協案といえる。 (d)前方の障害物がどうしても避けられない場合には、空中線を原則として右舷にずらすのがよい。これにより障害物の陰は左側に移り船首方向の視野は確保されることとなる。キールラインから次の二つの式により算出される距離のうち、いずれか大きい値だけ移動すれば十分である。(図2・3)
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